講師:山本浩也 氏 (平3社卒/㈱ダイセキ環境ソリューション 常務取締役)
演題:「企業経営と土壌汚染リスク」
出席者 計48名
土壌汚染の最大リスクは、有害物質の地下水への溶出や空気中への飛散等により、人体に健康被害を及ぼすことである。今例会では、このほかに企業経営の観点で捉えた様々なリスクについて解説を頂いた。
まず、土壌汚染の調査には大きな出費が生じ、汚染があれば更に高額の浄化費用が必要となる。そして、この費用負担を巡り、土地売買で売主と買主の意見が折り合わず、開発計画が頓挫してしまうケースがあるそうだ。今の日本には、汚染対策費が高額のために売却できない遊休地が約3万ha(金額に換算すると11兆円相当)もあるとのこと。
また、不動産の鑑定でも土壌汚染が考慮され、汚染が発覚した土地は、たとえ浄化処理が施されようと、過去の汚染事実によって低い評価を余儀なくされてしまうらしい。結果、金融機関からの担保評価も切下げられ、企業の資金調達に支障をきたす事例もあるようだ。
さらに、将来発生する土壌汚染対策費用を引当処理しなければならない方向に、会計基準が変更されつつあるとのこと。企業によっては多額の損失計上を強いられる憂き目に遭う。
講師は、上記以外に「行政処分・損害賠償請求等のリスク」や「汚染土壌不適正処理のリスク」についても解説し、「土壌汚染リスクは法律面・会計面・コンプライアンス面等非常に多岐に渡るため、リスクコントロールのためには信頼できるプロをパートナーに選ぶことが重要」と総括された。
安井先輩による開会のあいさつ
講師の山本浩也氏
大西先生の鋭い質問が飛びます・・・・。
(村瀬記)